iDeCo出口戦略6パターン比較|60歳と70歳で驚愕の事実!【2026年版】

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🕒 最終更新日:2026年4月24日|2026年1月から適用された退職所得課税の重複調整ルール改正を反映した最新版です。

結論:iDeCoは「いつ受け取るか」で1,868万円変わる

iDeCo(イデコ)を続けている40代・50代の方から、いちばん多く聞かれるのがこの質問です。

「iDeCoって、結局いつ受け取るのが得なの?」

60歳? 65歳? それとも70歳まで待つ? ネットで調べると「退職所得控除を2回使うのが正解」なんて情報も出てきますが、2026年1月からルールが変わり、その戦略はそのままでは通用しなくなりました。

そこで今回、我が家の実際のiDeCo残高(513万8,307円)をベースに、受取タイミングを変えた6つの出口戦略をシミュレーションしました。グラフ8枚つきで、数字がどう動くかを丸ごと公開します。

💡 この記事の結論(30秒で読めます)
60歳受取:1,612万円70歳受取:3,480万円(差額1,868万円
✅ この10年間、追加の積立は1円もしていません。ただ「放置」しただけ
✅ 一方「積立を10年延長」しても増えるのは+360万円(240万円を追加投入して)
✅ つまり「積立を伸ばす」より「受取を遅らせる」ほうが約5倍強い
✅ ただしインフレ2%を考慮すると実質価値は34%目減り。名目額だけ見ると危険
2026年1月から退職所得控除の重複調整ルールが変更。税金だけで判断しないこと
👤 この記事を書いた人:ramp
FP3級保有/40代・夫婦でポイ活歴5年、iDeCo・NISA運用中。実際の自分の残高を使って出口戦略をシミュレーションしました。本記事は税理士・FPによる個別の助言ではなく、公開情報に基づく試算とその考え方の共有です。個別の税額判断は必ず税理士・税務署にご確認ください。

1. シミュレーションの前提条件

まず、今回の試算がどんな条件で計算されているかを明示します。前提が違えば答えも変わるので、ご自身の状況に置き換えながら読んでください。

項目設定値
現在年齢49歳
現在のiDeCo資産5,138,307円(実際の残高)
月額積立20,000円
想定運用利回り年率8%(一定と仮定)
インフレ率2%
比較する受取年齢60歳・65歳・70歳
手数料・税金含めていません
⚠️ 年率8%はかなり強気の想定です
全世界株式や米国株インデックスの過去平均リターンを参考にした数字ですが、将来もこの利回りが続く保証はまったくありません。相場は下がる年もあります。本記事の数字は「うまくいった場合の上限イメージ」として捉え、ご自身では年率3〜5%など保守的な数字でも試算してみてください。

2. まずは基本:「積立を続ける」vs「60歳で止める」

出口戦略を考える前に、いちばんシンプルな比較から見てみましょう。「月2万円の積立を続けた場合」と「60歳で積立をやめて放置した場合」で、資産はどう変わるのか。

月2万円を継続した場合と、60歳で積立を止めて放置した場合の比較。緑線は放置ケースの実質価値(インフレ2%調整後)

このグラフから読み取れるポイントは3つあります。

  • 60歳までは青線とオレンジ線がほぼ重なっている:どちらも積立中なので当然です
  • 60歳以降、差が開いていく:それでも70歳時点で3,840万円 vs 3,480万円と、差は360万円ほど
  • 緑線(実質価値)との差が大きい:これがインフレの怖さです

意外だったのが、60歳で積立を止めても、資産はぐんぐん伸び続けるということ。すでに1,600万円を超える元本があるので、年率8%なら年間130万円近くが「勝手に」増えていく計算です。月2万円(年24万円)の積立より、運用益のほうがはるかに大きくなっているわけですね。

ここが今回のシミュレーションの最大の気づきにつながります。詳しくは後半で解説します。

3. 比較する「6つの出口戦略」

今回シミュレーションしたのは、以下の6パターンです。

ケース積立終了受取ひとことで言うと
65歳70歳ほどよく積立を延長して、最大まで運用
60歳70歳60歳で卒業、あとは10年放置
70歳70歳最後まで積立、ギリギリまで運用
60歳60歳最短ルート。60歳で全部受け取る
60歳65歳5年だけ寝かせる中間案
60歳70歳②と同条件(比較の基準として再掲)

ざっくり分けると、①〜③は「70歳受取」を固定して積立期間を比べるグループ④〜⑥は「60歳で積立終了」を固定して受取時期を比べるグループです。

※②と⑥は同じ条件です。「積立延長の比較軸」と「受取遅延の比較軸」の両方に登場するため、あえて重複させています。

4. ケース別シミュレーション結果

ケース① 65歳まで積立 → 70歳引出し

ケース①:65歳で積立終了(破線)、70歳で受取(点線)
受取時の資産約3,695万円
実質価値(インフレ調整後)約2,438万円
自分で出したお金(積立総額)約384万円
運用で増えた分約2,797万円

65歳まで積立を延長し、そこから5年は運用だけを続けるパターン。自分で出した384万円が、3,695万円に化けている計算です。運用益が積立総額の7倍以上という、複利のインパクトがよく分かる結果になりました。

ケース② 60歳まで積立 → 70歳まで放置

ケース②:60歳で積立終了、その後10年は運用のみ
受取時の資産約3,480万円
実質価値(インフレ調整後)約2,296万円
自分で出したお金(積立総額)約264万円
運用で増えた分約2,702万円

60歳できっぱり積立をやめ、あとは10年間ノータッチ。それでも3,480万円まで育ちます。ケース①(65歳まで積立)との差はわずか215万円。追加で120万円積み立てても、増えるのは215万円——このコスパをどう見るかがポイントです。

ケース③ 70歳まで積立 → 70歳引出し

ケース③:ギリギリまで積立を継続する最大パターン
受取時の資産約3,840万円(今回の最高額)
実質価値(インフレ調整後)約2,534万円
自分で出したお金(積立総額)約504万円
運用で増えた分約2,823万円

6ケース中最高額の3,840万円。ただし積立総額も最大の504万円です。ケース②と比べると、240万円多く積み立てて、増えたのは360万円。悪くはありませんが、「積立を延ばす効果」は思ったほど劇的ではないことが分かります。

📌 【重要】現時点では「70歳まで積立」はできません
iDeCoの加入可能年齢は、現行制度では原則65歳未満(国民年金の被保険者であることが条件)です。つまりケース③は、今すぐ選べる選択肢ではありません。

ただし年金制度改正法により、加入可能年齢を70歳未満へ引き上げる改正が2026年12月に施行される予定です(施行後は60歳以上70歳未満で、老齢基礎年金やiDeCo老齢給付金を受給していないことなどが条件)。ケース③はこの改正後を想定した試算としてご覧ください。

施行日・適用条件の詳細、そしてご自身が何歳まで拠出できるかは、必ず加入先の運営管理機関(証券会社)および厚生労働省の最新情報でご確認ください。

ケース④ 60歳で引出し(最短ルート)

ケース④:60歳で積立終了と同時に受取
受取時の資産約1,612万円(今回の最低額)
実質価値(インフレ調整後)約1,296万円
自分で出したお金(積立総額)約264万円
運用で増えた分約834万円

いちばん早く受け取るパターン。金額は最少ですが、60歳から自由に使えるお金が1,612万円あるというのは大きな安心材料でもあります。住宅ローンの一括返済、リフォーム、早期リタイア資金など、使い道が明確にある方には合理的な選択です。

ケース⑤ 60歳まで積立 → 65歳引出し

ケース⑤:60歳で積立終了、5年間だけ運用を継続
受取時の資産約2,369万円
実質価値(インフレ調整後)約1,725万円
自分で出したお金(積立総額)約264万円
運用で増えた分約1,591万円

60歳で積立をやめて、5年だけ寝かせる中間案。ケース④(60歳受取)と比べて+757万円5年待つだけで750万円以上増える計算です。「70歳まで待つのは不安だけど、60歳ですぐ使う予定もない」という方には、現実的な着地点かもしれません。

ケース⑥ 60歳まで積立 → 70歳引出し

ケース⑥:ケース②と同条件(受取遅延の効果を見る基準ケース)
受取時の資産約3,480万円
実質価値(インフレ調整後)約2,296万円
自分で出したお金(積立総額)約264万円
運用で増えた分約2,702万円

ケース②と同じ条件ですが、ここでは「④→⑤→⑥」という受取遅延シリーズの最終形として見てください。60歳で積立をやめた後、1円も追加せずに10年放置しただけで1,612万円→3,480万円。この差が今回いちばんのインパクトです。

5. 6ケースを一気に比較

6つの出口戦略を重ねた比較グラフ。60歳までは全ケース同じ動き、その後で差がつく
ケース積立終了受取受取時資産実質価値
③ 70歳まで積立70歳70歳3,840万円2,534万円
① 65歳まで積立65歳70歳3,695万円2,438万円
② 60歳まで積立60歳70歳3,480万円2,296万円
⑥ 60歳まで積立60歳70歳3,480万円2,296万円
⑤ 60歳まで積立60歳65歳2,369万円1,725万円
④ 60歳で引出し60歳60歳1,612万円1,296万円

※実質価値=受取時資産をインフレ年2%で現在価値に換算した金額。金額順に並べ替えています。

6. シミュレーションから見えた3つの真実

真実①「受取を遅らせる」効果は、「積立を延ばす」効果の約5倍

これが今回いちばんの発見でした。2つのレバーを比べてみましょう。

やったこと追加で出したお金増えた資産
受取を60歳→70歳に遅らせる
(ケース④→⑥)
0円+1,868万円
積立を60歳→70歳に延ばす
(ケース②→③)
240万円+360万円
🔑 ポイント
「iDeCoを何歳まで続けるか」で悩む人は多いですが、実は「何歳で受け取るか」のほうが金額へのインパクトが圧倒的に大きい
すでに1,600万円の元本があれば、年8%運用で年間130万円ほど自動的に増えます。月2万円(年24万円)の積立より、「元本を働かせ続けること」のほうが効くわけです。

真実② インフレを考えると「3,480万円」は「2,296万円」の価値しかない

名目額だけを見ていると、大事なことを見落とします。インフレ年2%で計算すると——

受取年齢名目額実質価値目減り率
60歳1,612万円1,296万円▲19.6%
65歳2,369万円1,725万円▲27.2%
70歳3,480万円2,296万円▲34.0%

70歳まで待つと名目では2.16倍になりますが、実質価値では1.77倍。それでも十分プラスですが、「3,480万円もらえる!」と単純に喜ぶのは早いということです。

逆に言えば、年8%で運用できるならインフレ2%は十分に上回れるとも読めます。問題は「本当に8%で回り続けるのか」ですね。

真実③ 自分が出したお金は、たったの264万円〜504万円

ここも見逃せないポイントです。ケース⑥(3,480万円)で、自分が積み立てたのは264万円だけ。残りの2,702万円は「現在資産513万円+運用益」です。

これはすでに513万円という元本を持っていることの強さを示しています。iDeCoは「早く始めて、元本を大きくして、長く運用する」——このシンプルな原則がそのまま結果に出る制度なんですね。

📘 まだiDeCoを始めていない方へ
この試算が示すのは「時間が最大の武器」ということ。iDeCoは掛金が全額所得控除になるため、運用益だけでなく毎年の節税効果も見逃せません。金融機関選びで手数料が変わるので、口座開設前の比較は必須です。
👉 詳しくは「40代の資産運用解説|iDeCo活用法と証券比較【2024年】」で解説しています。
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7. 【要注意】「退職所得控除を2回使う」は2026年から変わりました

ここからは、出口戦略でいちばん誤解の多い税金の話です。ネット上には古い情報や、正確でない解説がかなり出回っているので、丁寧に整理します。

そもそも「退職所得控除」とは

iDeCoの老齢給付金を一時金(一括)で受け取ると、税制上は「退職所得」として扱われます。退職所得は税制優遇が非常に手厚く、次の2つのメリットがあります。

  • 退職所得控除が使える(一定額まで非課税)
  • 控除後の金額をさらに1/2にしてから課税される

退職所得控除額の計算式はこちらです。

勤続年数(=iDeCoの掛金拠出期間)退職所得控除額
20年以下40万円 × 年数
(80万円未満の場合は80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(年数 − 20年)

※勤続年数の1年未満の端数は切り上げます。障害が原因で退職した場合は100万円加算されます。(国税庁 タックスアンサー No.1420)

本記事のモデルケース(49歳からiDeCo加入と仮定)で計算すると、控除額の目安はこうなります。

受取年齢拠出期間退職所得控除額(目安)
60歳11年440万円
65歳16年640万円
70歳21年870万円

※実際の拠出期間はご自身の加入開始時期によって変わります。上記はあくまで本記事の前提での目安です。

「控除を2回使う」戦略が語られてきた理由

会社の退職金とiDeCo一時金、両方で退職所得控除を使えれば節税効果は絶大です。そのため「受取年をずらせば控除を2回フルに使える」というテクニックが、これまで広く語られてきました。

ところが実際には、近い年に2つの退職金を受け取ると、勤続期間の重複部分が調整されて控除額が減るルールがあります。そしてこの調整ルールが、2026年から大きく変わりました。

【改正】「5年ルール」が「10年ルール」に

令和7年度税制改正により、iDeCo一時金を先に受け取り、後から会社の退職金を受け取る場合の重複調整の対象期間が拡大されました。

改正前改正後
iDeCo一時金 → 後に退職金前年以前4年内
(通称「5年ルール」)
前年以前9年内
(通称「10年ルール」)
退職金 → 後にiDeCo一時金前年以前19年内前年以前19年内
変更なし

つまり「60歳でiDeCoを受け取って、65歳で退職金をもらえば控除は2回フルに使える」という従来の戦略は、そのままでは成立しなくなりました。5年空けても、9年内なら調整の対象に入ってしまうからです。

⚠️ ここが多くのサイトで誤って解説されています

🚨 「2026年以降の退職金はすべて10年ルール」は誤りです
正しくは、次の2つの条件を両方満たす場合に新ルールが適用されます。

令和8年(2026年)1月1日以後にiDeCo等のDC一時金の支払を受けている
かつ
同日以後に支払を受けるべき退職手当等である

つまり2025年12月31日までにiDeCo一時金を受け取り済みの方は、従来どおり「前年以前4年内(5年ルール)」で判定されます。
Web上には「2026年以降に退職金を受け取る人は全員10年ルール」と書いている記事があるため注意が必要です。

根拠は国税庁タックスアンサーNo.2732「退職手当等に対する源泉徴収」です。同ページでは、9年内ルールの対象となるDC一時金について「令和8年1月1日以後に支払を受けたものに限り」と明確に限定されています。

【条件の整理】どちらのルールが適用される?

ご提示のとおり、10年ルール(前年以前9年内)が適用されるのは、「iDeCo・DC一時金の受取」と「会社の退職金の受取」の双方が令和8年(2026年)1月1日以降である場合に限られます。表で整理するとこうなります。

iDeCo等の受取時期退職金の受取時期適用されるルール
2025年12月31日以前2026年1月1日以降従来どおり
5年ルール(前年以前4年内)
2026年1月1日以降2026年1月1日以降新ルール
10年ルール(前年以前9年内)

ポイントは「iDeCo等をいつ受け取ったか」で判定が変わるという点です。2025年内にiDeCo一時金を受け取り済みなら、その後2026年以降に退職金を受け取っても従来の5年ルールのまま。「2026年以降はすべて10年ルール」ではないことに、あらためてご注意ください。

※これは「iDeCo等を先に受け取り、あとから退職金を受け取る」ケースの整理です。逆に「退職金を先に受け取り、あとからiDeCo一時金を受け取る」場合は、前述の「前年以前19年内」ルール(今回変更なし)が関係します。

じゃあ、どう考えればいい?

結論から言うと、「控除を2回使えるかどうか」は個別事情によって答えが変わります。影響する要素はこれだけあります。

  • 会社の退職金の金額
  • 会社の勤続年数
  • iDeCoの掛金拠出期間
  • それぞれの受取年と、その間隔
  • どちらを先に受け取るか
  • 一時金・年金・併用のどれを選ぶか

これらの組み合わせで控除額の計算が変わるため、「◯歳で受け取れば得」という万人共通の正解は存在しません。

📋 税金まわりで必ずやってほしいこと
① 勤務先の退職金額・支給年齢・勤続年数を確認する
② iDeCoの掛金拠出期間を運営管理機関で確認する
③ 受取パターンを2〜3案に絞る
④ その案を持って税理士または所轄の税務署に相談する

④は面倒に感じるかもしれませんが、数百万円単位で手取りが変わる可能性がある話です。相談する価値は十分にあります。

【出典】国税庁タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」、No.2732「退職手当等に対する源泉徴収」、財務省「令和7年度税制改正の大綱」。制度は変更される可能性があるため、実際の手続き時には必ず最新の国税庁情報をご確認ください。

おまけ:2026年12月からiDeCo自体も変わります

出口戦略に関わる制度改正として、もう1つ押さえておきたいのが加入可能年齢の引き上げです。

項目現行改正後時期
加入可能年齢原則65歳未満70歳未満2026年12月(予定)
受給開始可能年齢60歳〜75歳60歳〜75歳(変更なし
拠出限度額現行どおり引き上げ予定2027年1月(予定)

加入可能年齢が70歳未満まで伸びれば、本記事のケース①・③(積立延長型)が現実的な選択肢になります。ただし施行日や適用条件の細部は、必ず加入先の金融機関・厚生労働省の公式情報でご確認ください。

8. 出口戦略の決め方:5つのステップ

ここまでの内容を踏まえて、自分の出口戦略を決めるための手順を整理します。順番に確認していけば、判断材料が揃います。

STEP1. 会社の退職金が「いつ・いくら」出るか確認する

まずここがスタート地点です。勤務先の退職金制度・支給予定年齢・概算額・勤続年数を確認しましょう。人事部や就業規則、企業年金連合会の資料などで調べられます。

退職金がない、または少ない方は、iDeCo一時金に退職所得控除をフルに使える可能性が高くなります。逆に退職金が大きい方は、受取時期の組み立てがより重要になります。

STEP2. 一時金・年金・併用のどれで受け取るか比較する

iDeCoの受け取り方は3パターンあります。

受取方法税制上の扱い向いている人
一時金(一括)退職所得退職所得控除の枠が大きく余っている人
年金(分割)雑所得(公的年金等控除の対象)退職所得控除を使い切ってしまう人
併用上記の組み合わせ控除枠に合わせて最適化したい人

※併用が可能かどうかは運営管理機関(証券会社)によって異なります。必ず加入先にご確認ください。

STEP3. 60歳・65歳・70歳の資産額を試算する

本記事のシミュレーションのように、受取年齢ごとの資産額を並べて比較します。ここで大切なのは、複数の利回りで試算すること。

年率8%だけでなく、年率3%・5%でも計算してみてください。「うまくいった場合」と「そこそこの場合」の両方を知っておくと、判断がぶれません。

STEP4. 退職所得控除の重複調整を確認する

後述する2026年からのルール変更を踏まえ、「会社の退職金」と「iDeCo一時金」の受取年がどれだけ離れているかを確認します。ここは計算が複雑なので、税理士や税務署への相談を強くおすすめします。

STEP5. 「税引後の手取り+受取後の運用」まで含めて判断する

意外と見落とされがちなのが、受け取った後のお金をどうするかです。

たとえば60歳で受け取って、そのお金をNISAで運用するなら、iDeCo内で運用を続けるのと結果は近づきます。一方、受け取ったお金を預金に置くだけなら、運用機会を失うことになります。

🔑 出口戦略の本質
「早く受け取る」より、「運用を続けながら、税制を最適化する」ほうが有利になるケースは十分にあります。
ただしそれは“相場が想定通りに動いた場合”の話。70歳直前に暴落が来る可能性も、当然あります。金額の最大化だけを目的にしないことが、いちばん大事な視点かもしれません。

9. よくある質問(Q&A)

Q1. iDeCoは何歳から何歳まで受け取れる?

A. 原則として60歳から75歳になるまでの間で受給開始時期を選べます。ただし60歳から受け取るには通算加入者等期間が10年以上必要です。加入期間が短い場合は受給開始可能年齢が繰り下がります(最長65歳から)。ご自身の受給可能年齢は運営管理機関でご確認ください。

Q2. 積立をやめても運用は続けられる?

A. はい。掛金の拠出をやめて「運用指図者」になれば、受け取るまで運用だけを継続できます。本記事のケース②④⑤⑥がこのパターンです。

ただし注意点があります。運用指図者になっても口座管理手数料は毎月かかり続けます(金融機関により月66円〜数百円程度)。10年放置すれば、その分だけコストが積み上がります。本記事の試算には手数料を含めていないので、実際はもう少し目減りする点にご注意ください。

Q3. 年率8%は現実的な数字?

A. 楽観的な想定です。全世界株式や米国株インデックスの長期平均リターンを参考にした数字ですが、将来も同じとは限りません。

同じ条件(60歳で積立終了→70歳受取)で利回りだけを変えると、結果はおおよそ次のような比率になります。

想定利回り年8%を100%としたときの水準
年8%100%(本記事の試算:約3,480万円)
年5%おおよそ55%前後
年3%おおよそ38%前後

※積立のタイミング(月初・月末)や複利計算の方法によって数値は多少前後します。あくまで「利回りの差がどれくらい効くか」の目安としてご覧ください。

利回りが8%から5%に下がるだけで、結果はほぼ半分になります。「8%だから3,480万円もらえる」ではなく、「うまくいけばこのくらい、そうでなければ半分以下」という幅を持って考えてください。

ご自身で試算したい方は、金融庁の「資産運用シミュレーション」や、加入先証券会社のシミュレーターを使うと簡単です。利回りを変えながら何パターンか計算してみることを強くおすすめします。

Q4. 70歳直前に暴落が来たらどうする?

A. これが受取を遅らせる戦略の最大のリスクです。対策としては以下が考えられます。

  • 受取の数年前から、徐々に元本確保型商品へスイッチする(値動きを抑える)
  • 年金形式で分割受取にする(受取時期を分散して高値・安値を平準化)
  • 目標額に達したら、相場を見て早めに確定させる

「1年でも長く運用したほうが得」というのは、あくまで右肩上がりを前提にした話。出口が近づいたらリスクを落としていく発想も持っておきたいところです。

Q5. 結局どのケースがおすすめ?

A. 「人によって違う」が正直な答えです。ただ、判断の目安としてはこう考えられます。

こんな人検討したいケース
60歳で使い道が決まっている(住宅ローン完済など)④ 60歳受取
65歳まで働く予定で、当面の生活費は困らない⑤ 65歳受取
年金+他の資産で生活でき、iDeCoは”最後の砦”にしたい②⑥ 70歳受取
拠出を続けられる立場で、節税メリットも取りたい①③ 積立延長型

大切なのは金額の最大化ではなく、「自分の人生設計に合っているか」です。

10. まとめ:iDeCoの出口は「早さ」より「設計」

今回のシミュレーションで見えたことを、もう一度整理します。

  • 60歳受取1,612万円 → 70歳受取3,480万円。追加投資ゼロで+1,868万円
  • 「受取を遅らせる」効果は「積立を延ばす」効果の約5倍
  • ✅ ただしインフレ2%で実質価値は34%目減りする
  • 年率8%は楽観的な想定。3%なら結果は3分の1以下になる
  • 2026年から退職所得控除の重複調整ルールが変更。「控除2回」は自動では成立しない
  • 税金だけで決めず、人生設計から逆算するのが本当の出口戦略

私自身、この試算をするまでは「60歳になったら受け取るもの」と漠然と考えていました。でも数字にしてみると、「受け取らずに置いておく」という選択肢の強さに驚かされます。

同時に、相場が想定通りに動かないリスクや、税制が変わるリスクも無視できません。だからこそ、「一度決めて終わり」ではなく、5年ごとに見直すくらいの気持ちでいるのがちょうどいいのかなと思っています。

この記事が、あなたのiDeCo出口戦略を考えるきっかけになれば嬉しいです。

シミュレーションの前提・免責事項

【本シミュレーションの前提】
・現在資産は筆者の実際のiDeCo残高 5,138,307円を使用
・月20,000円を基本積立額として計算
・年率8%の運用利回りが一定で継続すると仮定
・インフレ率2%で実質価値を算出
口座管理手数料・信託報酬・税金・相場変動・掛金変更は考慮していません
・実際の受取額は運用成果により大きく変動します

【免責事項】
・本記事は筆者個人の試算とその考え方を共有するものであり、特定の金融商品の購入や、特定の受取方法を推奨するものではありません
税務に関する個別の判断は、必ず税理士・所轄の税務署にご確認ください
・制度・税制は将来変更される可能性があります。実際の手続き時には国税庁および運営管理機関の最新情報を必ずご確認ください
・本記事の情報に基づく判断・行動により生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負いかねます

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今回はそんな感じ。それでは!